AIの活用で、今すでに起きている「未来」

2018.05.31

将来への不安

Q1

今後、AIによって最も就業者が減ると予想される産業はどれ?
A.サービス業
B.農林水産業
C.製造業

 

Q2

企業がイメージするAIの導入時期で最も多いのはどれ?

A.5年後

B.10年後

C.15年後

 

 

AIに仕事が奪われる?

 

「お電話ありがとうございます。どのようなお問い合わせでしょうか」――。今、AI(人工知能)の自動音声が、人に代わって応対してくれるコールセンターが登場しています。AIが問い合わせ内容を詳しく聞いてから、人のオペレーターに引き継いでくれるというものです。

AIが人の話す内容を理解して、音声で会話をするというのは驚きですよね。こうした事例を目の当たりにすると、「AIに人間の仕事が奪われるのではないか」といった話が現実味を帯びて感じられるかもしれません。

ですが、「朝、目覚めたとき、自分の仕事が一夜にしてAIに奪われていた」というような急激な変化が起こるわけではありません。段階を踏んでAIが浸透していき、徐々に社会の環境が変わっていくのです。

そして、その変化の中では、減っていく職業や仕事がある一方で、増えていく職業や仕事もあるといわれています。

 

AIによって減る職種、増える職種

 

国の試算によると、2030年までにAIの進展などによって、「生産工程従事者」「事務職」などの定型的な業務が中心の職種が減る一方で、「ホームヘルパー、介護職員」「販売従事者」などの人間的な付加価値を求められる職種は増えると予想されています。

もっと具体的に見ていきましょう。今、AIによって職業や仕事の現場ではどのような変化が起きているのでしょうか。

 

AIが人の目に置き換わる?

 

AIの活用が実用レベルで進んでいる代表的なものが、「画像認識」の分野です。例えば、工場の製造ラインでAIが不良品などを瞬時に選別するといったシステムが、実際に導入されています。

まだ実証実験の段階ですが、乗用車に取り付けたスマートフォンで道路を自動撮影し、その画像を基に、道路の修繕が必要かどうかを判断するといったことも可能になっています。

このように、人が目で確認して判断するような仕事は、AIに置き換わっていく可能性が高いといわれています。

 

AIがニュースキャスターに!?

 

画像認識ほどではないものの、活用が進んでいるのが「自然言語処理」の分野です。これは、AIが人間の自然な言葉を理解して使用するというもので、例えば、冒頭で紹介したコールセンターの応対などがあります。

まだ実証実験の段階ですが、気象ニュースの原稿をAIが自動生成するといったことが可能になりつつあります。最近では、天気の予測にもAIの活用が進められているので、近い将来、AIが天気を予測し、原稿を書き、読み上げるといったことができるようになるかもしれません。

さらには、画像認識と組み合わせてスポーツなどの実況中継をするといったことも期待されています。

 

未来に備える

 

この他にも、AIを活用してコンビニを無人化するなど、幅広い分野で実証実験が行われています。

AIは、社会を着実に変えつつあります。これからは、自分の職業や仕事の中で、AIでもできること、AIにはできないこと、AIを活用して新しくできることは何かを考える必要があるのかもしれません。その上で、自分の働き方はどう変わっていくのかを予測し、そうした変化に備えることが重要になってくるのではないでしょうか。

 

Q1(答え)

C.製造業

国の試算によると、2030年までにAIの進展などによって就業者が減少する産業としては、「製造業」が159.7万人減と最も多く、「政府サービス生産者」が88.3万人減、「農林水産業」が70.3万人減と予想されています。

一方、増加する産業としては、「サービス業」が157.7万人増と最も多く、「対家計民間非営利サービス生産者」が36.4万人増、「建設業」が16.1万人増と予想されています。

(出所:厚生労働省「労働経済の分析(2017年版)」)

 

Q2(答え)

B.10年後

「職場にAIが導入される時期のイメージ」に関するアンケート調査によると、「10年後」と答えた企業が全体の32.9%と最も多く、「20年後よりも先」が24.5%、「5年後」が16.6%、「20年後」が12.1%、「15年後」が5.4%、「3年後」が3.8%、「すでに導入済み」が0.8%となっています。

ちなみに、「すでに導入済み」「3年後」「5年後」と比較的直近に導入する(した)と回答した企業は、「情報通信業」「金融業、保険業」などで多くなっています。

(出所:労働政策研究・研修機構「イノベーションへの対応状況調査(2017年)」)