Q1
次のうち、労働災害にあたらないのはどれ?
A.昼休み中に社員食堂へ行く途中の階段で転んだ
B.仕事中に同僚から個人的な恨みで殴られた
C.出張先のホテルの浴室で転んだ
Q2
労働災害の申請に時効はある?
A.全くない
B.病気やけがの内容ごとに決まっている
C.給付内容ごとに決まっている
労働災害の多い業種は……
「機械に服が引っかかって転びそうになった」
「はしごを上っていたらバランスを崩して落ちそうになった」
「無理な姿勢で物を持ち上げたら腰に痛みが走った」
仕事をしていて、「あ、危ない」と思った経験はありませんか? 自分でなくても、仕事仲間のヒヤッとする瞬間に出くわしたことがあるのではないでしょうか。
最近は、従業員の安全や健康に気を配る企業も増えましたが、それでも事故が起きる確率はゼロではありません。年を重ねてくると、体力の衰えなどから、若いときには考えられなかったようなけがや病気に見舞われることもあるでしょう。
実際に、仕事が原因でけがをしたり病気になったりする「労働災害」にあう人は、2016年の1年間で11万7910人(休業4日以上の死傷災害)に上ります。このうち、製造業、建設業、陸上貨物運送事業で働く人が約47%を占めています。
労働災害の種類を見てみると、全産業では「転倒」が最も多いですが、業種別では、製造業では「はさまれ・巻き込まれ」、建設業では「墜落・転落」、陸上貨物運送事業では「交通事故(道路)」が最も多くなっています。
労働災害にあったら?
もし、労働災害に見舞われたら、治療費や働けない間の生活費などはどうすればよいのでしょう。こうしたときには、労災保険(政府管掌の労働者災害補償保険法による)の給付に頼ることができます。
健康保険などの給付に比べると、労災保険の給付は、もらえる金額や期間が手厚くなっています。まず、けがや病気の治療に掛かるお金は全額もらうことができます。その上で、休業する場合は、休業1日につき、直前3カ月の賃金の総額をその期間の暦日数で割った「給付基礎日額」の80%をもらうことができます。
しかも、これらは非課税所得のため、労働災害にあう前の賃金に近いお金がもらえます。もらえる期間も長く、基本的にけがや病気が治癒するまでもらい続けることができます。
いざというときにあわてないように、労災保険の給付にはどのようなものがあるのかを確認しておくとよいでしょう。
生活への備えは重要
注意したいのは、休業(補償)給付でもらえるお金は、ボーナスなどを含めた「年収」の80%ではなく、賞与や臨時に支払われる賃金などを除いた給付基礎日額の80%だということです。賞与などをもらっている人はその分の収入が減ってしまうため、年収に対する賞与などの比率が高い人は気を付けたほうがよいでしょう。
安全に気を配り、事故を未然に防ぐことはもちろん大事ですが、もし、万が一の事故によるけがや病気で働けなくなったとき、これまでの生活がどう変わるのかを考えておくとよいでしょう。
Q1(答え)
B.仕事中に同僚から個人的な恨みで殴られた
労働者が個人的な恨みなどにより、第三者から暴行を受けて被災した場合は、労働災害とは認められません。
A.については、昼休みなどの休憩中であっても、会社施設内にいる限りは業務遂行性があり、階段などの事業場施設・設備や管理状況が原因で発生した場合は労働災害となります。
C.については、出張の期間中は食事、宿泊など私的な行為を伴いますが、積極的な私用などを除き、事業主の支配下にあるとみなされます。そのため、出張先のホテル内の浴室で転倒したり、ホテルの食事で食中毒になったりした場合などは、特別の事情がない限り労働災害と認められるものと考えられています。
(出所:厚生労働省ウェブサイトなど)
Q2(答え)
C.給付内容ごとに決まっている
時効は給付内容ごとに異なります。例えば、療養(補償)給付は療養の費用を支出した日ごとにその翌日から2年、休業(補償)給付は賃金を受けない日ごとにその翌日から2年、障害(補償)給付は傷病が治癒した翌日から5年です。
(出所:厚生労働省「労災保険請求のためのガイドブック」)