その疲れは「うつ」かも!?自覚のない「心の不調」にご用心!

2018.05.31

病気やケガへの不安

Q1

うつ病について間違っているものはどれ?

A.うつ病は強い精神力があればかからない

B.うつ病は身体の病気

C.うつ病には投薬治療が有効

 

Q2

日本にうつ病経験者はどれくらいいるといわれている?

A.100人に1~3人

B.100人に3~7人

C.100人に7人以上

 

 

心の不調の原因は身の回りのストレス

 

特に悪いところはないと思うけど体調不良が続いている……

無気力になったり、イライラしたり気分が落ち着かない……

 

こんな心身の異常はありませんか? もし、いつもの疲労や風邪とは違う感じがしたら、心の不調かもしれません。

心の不調はストレスによってもたらされます。ストレスの原因は人それぞれですが、職場の人間関係や残業など、仕事でのストレスを感じている人が多いようです。最近は人手不足で、1人当たりの仕事の負担が増えがちなこともストレスの原因になっています。

仕事に関することでも、何にストレスを感じるのかは立場によって違いますし、プライベートの悩みも加わります。例えば、新入社員で独身のころは考えもしなかった、部下や家庭に関する悩みがストレスの原因になることがあります。

身体が発するシグナルを知る

 

問題なのは、心の不調は自覚しにくいことです。「まさか、自分が心の不調になるわけがない」と考える人も多いでしょう。

しかし、例えば「うつ病」は「心の風邪」といわれるほど、誰もがかかり得る病気です。うつ病には、食欲不振、頭痛、めまいなどの身体症状が前面に立ち、精神症状に気づきにくい「仮面うつ病」と呼ばれるものもあります。次のような症状が継続的に表れていたら、心の不調を疑ってみましょう。

心の不調は遅刻やうっかりミスなど仕事にも影響を及ぼします。うつ病にかかると、睡眠障害や重度の憂うつ感などの症状によって、会社に行くのが難しくなることもあります。しっかりと治療しなければなりませんが、それには時間がかかります。

厚生労働省によると、入院した場合の平均日数は約113日(※)です。日本うつ病学会のガイドラインによると、症状がよくなってきた後も抗うつ薬を4~9カ月以上使用したり、その後も再発予防として1~3年間は抗うつ薬を使用したりすることの効果が示されています。うつ病に一度かかってしまうと、治るまでに数年をようする場合もあります。

(※)うつ病を含む気分障害患者のデータ(出所:厚生労働省「患者調査(2014年)」)

 

未然の措置と万一の備えが必要

 

心の不調は未然に防止することが大切です。2015年からは、社員50人以上の会社でストレスチェック制度が始まっています。これは、いくつかの質問に答えることで自身のストレスの状態を知り、ストレスが高いと判断されると、医師による面接指導を受けることもできる制度です。会社がストレスチェックを実施しているようなら、前向きに受検を検討するとよいかもしれません。

また、万が一の備えも必要です。仕事が原因でうつ病などにかかった場合は労災保険(政府管掌の労働者災害補償保険法による)の保険給付が行われる可能性があります。しかし、うつ病などの原因はさまざまで、プライベートな出来事が原因になることも十分にあります。

この場合、労災保険ではなく健康保険から給付が行われる可能性がありますが、生活費を十分に補填できるものではありません。自分や家族の状況を踏まえ、万が一、自分がうつ病にかかったときのことを考え、必要な対策を講じておくことは大切でしょう。

 

Q1(答え)

A.うつ病は強い精神力があればかからない

「強い精神力があれば大丈夫」「心の弱い人がうつになる」などと、うつ病と精神力や根性とを結びつけるのは間違いです。うつ病はセロトニンなど脳の神経伝達物質の異常が関連する身体の病気です。

また、「うつは再発しやすい」と言う人もいますが、今では、投薬による効果が証明されています。

(出所:厚生労働省「働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト」)

 

Q2(答え)

B.100人に3~7人

厚生労働省によると、日本では、100人に3~7人という割合で、これまでにうつ病を経験した人がいるという調査結果があるようです(出所:厚生労働省「みんなのメンタルヘルス総合サイト」)。

ちなみに、2014年10月時点で、うつ病を含む気分障害の患者数は、111万6000人となっています(出所:厚生労働省「患者調査(2014年)」)。